Questions and Answers



・生命物理は生物物理とは違うのですか?

 生物物理も元来は、“生命とは何か?”、“生命の自己組織化について一般原理は存在するのか”、“意識・思考などの仕組みはどのようになっているのか?”などの、生命の根本を追求することが大きな課題でありました。しかしながら、20世紀の生命科学の発展のなかで、現代では、物理学の方法論(X線回折、NMR、各種顕微鏡など)を用いて、個々の生体分子の特性を調べることが中心的な課題となってきています。生命物理とは、原点に立ち戻って、生命とは何かといった課題を追求する学問です。


世界の物理学の流れのなかで、生命物理はマイナーな存在では?

 これまでも、ワトソン・クリックの二重らせん(X線回折)、生物進化の数理理論、神経興奮伝播モデル(ホジキン・ハックスレー方程式)、MRIやX線CTなど、生命科学の根幹や基盤の部分は、物理学から来ていることがわかります。物理のほうでも、20世紀後半から、非線形科学や対称性を軸とした相転移理論などに大きな発展がおこってきています。21世紀初頭の現時点では、このような物理学の新しい理論を、生命科学の未解明の問題に展開するといった点では、まだ初歩的な段階です。
 “DNAの一次元の固定メモリーからマクロな構造がどのようにして作られるのか”、“等温系での化学→機械エネルギー変換のメカニズムは”、“意識は思考は神経ネットワークからどのような仕組みで生じているのか”といった問題は、まさにこれからが物理学の出番となっています。実際、物理学のトップジャーナルの一つであるPhysical Review Letter誌を見ても、このような世界的な学問の潮流を読み取ることができます。


大学院終了後の就職は?

 生命物理や散逸系の学問領域は、年々その重要性が知られるようになってきています。このために、当研究室の出身者は、これまでの20名以上が大学のポストについてきており、各地で活躍しています。ここ2-3年の、就職例では、九州大学(助手)、北陸先端大学(助手)、福井大学(常勤講師)、京都大学(助手)、などが挙げられます。また、学位も博士課程3年で取得し、その後直ちに他のアカデミックポジションで研究活動を発展させることが、普通のスタイルとなっています。当然、修士課程を終えて、社会へ出てい るといった進路もあります。


この研究室では実験だけをするのですか?

 物理学第一教室の中では、実験系に属してはいます。しかしながら、基本的な研究のスタンスは、“解きたい問題や課題にもっとも有効な方法論を採用して研究を進める”ことにあります。そのために、研究の方法論をあらかじめ実験だけに限定することはしていません。このことは、研究室を一度訪問していただくと良くわかると思います。一方で、実験は予想もしなかったような現象・事象を私たちに提示してくれるといった意味で、研究者として成長していく上で、一度は実践してみることは有用です。このため、研究室の新入生には、何かの実験課題を持つことを勧めています。


研究テーマはどのように与えられるのですか?

 当研究室では、テーマを天下り式に与えるということはありません。研究課題選定の基本は、自らがテーマを見つけ出すことにあります。もちろん、テーマの探索に当たっては、充分な助言はしています。また、現在研究室で動いてない研究課題であっても、新しいテーマに取り組むことは奨励しています。国内外の多くの研究室を共同研究をすすめていますので、研究の方法論や実験手法などを、共同研究先で教わることの機会を自らが積極的にとるようにしています。


大学院に進学したいのですが、経済的な不安があります

 COEプログラムでのTAやRA以外にも、当研究室では、研究補助などのアルバイトを行うことも可能にしています。家庭の経済状況など、不安な点がありましたら、研究室の教員に率直に相談をしてみてください。また、当研究室では、博士課程大学院生の約半数が学術振興会奨励研究員(DC)に採択されています。また、海外との共同研究など、大学院生が国際的に活躍することを奨励しています。