ペットボトル振動子の解析

菊池 徹







 特にペットボトルのような容器の口に、適当な条件を満たす管を取り付ける。中に水が入った状態でそれをさかさまにすると、水の流出と空気の流入が交互に起こる振動現象が見られる。本レポートではこの現象を、管付近における流体の流れに注目して解析した。
 本レポートの方針は、できるだけ具体的に、現実そのままにペットボトル振動子を解析することである。抽象的なモデル方程式は、事態を簡略化しているぶん数理的な構造が浮き彫りになって楽しいが、問題なのはその正当性だ。例えば今回のペットボトル振動子のモデル方程式を立てようと思った時、その解に期待する振る舞いはなんだろうか。まず「振動」しなければならない。また、複数振動子をつなげている状況をモデル化した場合は、現実と照らし合わせて考えると、その解は「同調」や(式を適当にいじると)「逆相」を見せるものでなくてはならない。それらの「安定性」も重要だ。
 これらはモデル方程式の解が満たすべき必要条件だが、さて色々な理由をつけて、解が上記の性質を満たす方程式を作り上げたとしよう。問題は「上記の性質を満たす方程式」というものが数限りなくあることだ。例えば二つの振り子をゴム棒で水平につなげる。ゴム棒はねじれると、ねじれを直す方向に復元力を働かせる。時間と共にゴム棒は硬くなっていって剛体棒に近づいていくとすると、振り子もだんだんと同調していく。糸の長さや重りの重さは異なっていてよい。逆相にするには、振 り子の回転角をそれぞれθ1、θ2として、θ1と-θ2を比較すればいい。安定性は明らかである。これを式で記述すれば「上記の性質を満たす方程式」が得られる。
 これをペットボトル振動子のモデル方程式とするのはさすがに無理があると思うが、ではどの辺りから「無理がなくなる」のだろうか。自分の出したモデルが無理がないと、どのように証明したらいいのだろう。その正当性は?
 こういうことを考えていると、だんだん気分が悪くなってくる。これまでの話が議論として不十分なのは自分でもそう感じるが、とにかくモデル方程式というものに対する僕の気持ちはもはや「生理的に合わない」というもので説明がうまくできない。だから、いつかすばらしいモデル方程式に出会うことを祈りつつ、本レポートではペットボトル振動子を愚直に解析することにした。




全文: kikuchi.pdf (1645KB)


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