界面活性剤溶液中における油滴の自発的振動

2005年3月29日

京都大学理学部3回生 原田 僚





1.序論

1.1 生物個体へのアプローチ

 生物は最も代表的な非平衡系のひとつである。また、エネルギー変換プロセスの観点から生物を見ると、そこでは等温環境下で化学エネルギーが直接力学的エネルギーに変換されているという特徴に気付く。生物個体は一般に、外界とエネルギーや物質のやりとりをするが、一方で個体そのものは、自己組織化能のため一定の秩序を持った構造を保つことができる。
 ところで、このような性質を持った系は、生物に限られるわけではない。今回着目した、界面活性剤(STAC)溶液と油滴(ヨウ素−ニトロベンゼン、KI 飽和)からなる系では、エネルギーの変換プロセスや油滴の運動の様子など、幾つかの点で生物個体の系と共通した特徴が見られる。ここでは、界面を介して行われる特定の物質のやりとりが、系の振る舞いにおいて重要な役割を果たしていることが予想される。したがって、この系を理論的に取り扱うには、問題となる物質の移動に伴う、油相での化学ポテンシャルを考える必要がある。これによって、系を構成するミクロな分子レベルのエネルギーと、観測されるマクロな力学量との間に法則性を見出すことが今回の測定の目標である。



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