油水界面の張力振動によるベクトル的運動

住野豊




 生物は、等温系において、化学エネルギーから力学的エネルギーへの直接変換を行っているが、その機構はいまだ不明である。この問題に対し、実空間において直接変換系を人工的に作り出し、そのメカニズムを解明することが生命のエネルギー変換のメカニズムを解明する上で一つの手法となる。このような直接変換系として、油水界面張力の自発的な振動とそれに伴う界面運動に我々は注目している。この現象は、界面活性剤濃度が油水相間で非平衡状態にある時に生じ、等温系でのエネルギー直接変換を実現している。この界面運動は、境界条件が等方的であるときはその運動も方向性を持たないが、油水界面に部分的に仕切りを入れ、境界条件を異方的にすることで、運動の方向性を制御することが可能であることを過去に示した。今回、異方的境界条件として、ガラス容器の底面をラチェット状にした。これにより、水相中での油滴の運動方向を一次元的に制御することが可能であることを明らかにした。さらに、底面を階段状にしたところ、比重約1.3の油滴が階段を上昇することも見出した。この現象は、油滴サイズをmmオーダーとし、体積効果に対して界面効果を相対的に大きくしたことで実現した。発表では、油滴の形状変化と並進運動との相関についての解析結果などについて述べる。



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